赤ずきんちゃん
「私は選ばれるような存在じゃない」
「私を選ぶ人はどこか変な人。間違ってる人」
「私は期待に応えられない人」
―なぜかはわからないけれど。
でも。確信レベルで、自分のことをそう思い込んでしまっている方がいました。
この問題は。実は「赤ずきんちゃん」と密接な関係があるのですが、それはもう少し先に置いて。
『どうして自信が持てないのか』について、まずはココロのメカニズムを探っていきます。
封印されたココロのトビラの開け方
今回相談を受けた方(Aさん)はとても優秀な方。
人の話を理解するのも早いし、発言もしっかりしていて、どちらかと言うと頭脳明晰なタイプ。
なのに本人は、なぜかはわからないけれど「自分は選ばれない。期待に応えられない」と思い込んで長年生きてきたようなのです。
こういう風に『なぜかはわからないけれど自信が持てない』『いくら励まされたり、そんなことないよ、と言われても自分にOKがあげられない』という人は、実はとても多いもの。
漠然とした不安や、先行き不透明感なども、このAさんのような「捻じ曲げられたまま封印されてしまった記憶」がきっかけになっていることが多いのです。
混乱したあとはルール(理由)を作り出すもの
「自分はこんな人間だ」と思い込んで生きていくためには。
そう思い込むための理由が必要になります。
Aさんの場合「私は選ばれない」というルールを背負ってしまっていました。
「選ばれない」ルールができるには。必ず「そう思い込むに至った原因」があるはず。
でも。その原因って。あまり思い出したくない記憶のために。自分の意識の奥に封印して。
表面上は忘れて生きていることが多いのです。
今回のAさんの場合もそうでした。
「私は選ばれない」というルールだけは自分の中に強く持ちながら。
「なぜそう思ったの?」と聞いても「だって…今までずっとそうだから」というような答えしか返ってこないのがほとんどのパターンです。
つまり、逆の言い方をすると、
「そう思い込むに至った原因」を思い出して、原因が今の結果に結びつくものなのかどうかを改めて確認すれば、意外と「無理やりねじ曲げて思い込んで(つまり勘違いして)生きてきた」ということに気付けたりするもの、なのです。
赤ずきんちゃんを救え!
今までの記憶の流れを改めて整理すると
① 最初のできごと
↓ (激しい混乱)
② 混乱を抑えるために必要なルール探し
↓ (幼少期のできごとが多いため、小さな子供がひとりで悩んでルールを作ろうとする)
③ 決定「私は選ばれない。私を選ぶ人は変なひと」
↓
④ ③だけ覚えて(思い込んで)①と②は封印してしまう
↓
⑤ ③の決定を証明するような人生を生きようとする
このような流れになります。
なので。
問題を解決するためには。
この流れを逆にさかのぼって。忘れてしまった①を見つけ出す作業が有効となります。
今回のAさんの問題も、この方法で解決することになりました。
感情が記憶のトビラを開ける
実は。漠然とした思い込みに悩む場合は。
③の「決定した思い込み」を十分に味わってもらいながら。その感情を【鍵】にして。
主に幼少期のできごとを探る、というカタチになります。
感情が記憶のトビラを開けていくのです。
今回のAさんにも。
「自分は選ばれない。選ぶ人の方が間違っている」
という思い込みを味わってもらいながら。思い込みを鍵にして。
小さな子供のころの記憶を。探ってもらったのです。
そうしたら。
「こんなこと。ずっと忘れてたし、口に出すのも始めてです…」と言いながら。
蘇ってきた子供の頃の記憶を。ゆっくりと話してくれました。
それは。
娘の抜擢をけなしたお母さん
Aさんが幼稚園のころ。
発表会のお芝居『赤ずきん』で。
Aさんが大抜擢を受け。主役の赤ずきんちゃん役に選ばれた、という記憶でした。
きっと「これでママに褒められる」「ステキ!って抱きしめてもらえる」と思ったことでしょう。
喜びを分ち合いたくて。家に帰ってお母さんに真っ先に報告したそうです。
すると。お母さんは。Aさんが期待していたそれとは全く違う態度を取ったそうです。
お母さんがAさんに言った言葉、とは。
「他の先生だったらあなたを選んだりしないわ」
というものだったそうです。
◇ ◇ ◇
絶対に喜んでくれる。いっぱい抱きしめてくれる。
そう思っていたAさんは当然混乱します。
そして。当時4~5才だったAさんなりに。
「これはどういう風に理解したらいいのか」について考えます。
一般的に、幼少期は「親はカンペキだ」と思って生きていますから、
そのカンペキな存在が言った言葉を理解しようと努めます。
そしてAさんは、
「私は選ばれるような人じゃない。選ぶ人は間違ってる人」
という風に。この状況を理解しようとしました。
そして。自分にとって。あまり喜ばしい(むしろイヤな)記憶となってしまったできごとを。
無意識に忘れよう、と封印します。
でも。また同じようなつらいことがあったら困るから。
「私は選ばれない。選ぶ人は間違ってる人」
というルールだけは。ちゃんと覚えておこうとします。
「私は選ばれない。選ぶ人は間違ってる人」
と思い込んでいるために。成長するにつれ。大人になればなるほど。
恋愛も。進学も。就職も。友だち関係まで。
Aさんが選ばれるたびに。「選ぶ相手がおかしい」と思い込もうとして。
それを証明するような付き合い方になるために。
最後の最後に関係が途切れてしまったり。満足のいかない結果になってしまっていたのです。
では。どうしてお母さんはけなしたのでしょう?
このような問題解決のためには。
原因がわかったあとで。
3つのフォローアップが必要だと考えています。
まずは。『親と言っても不完全である』と理解すること
そして。『けなした理由を明らかにすること』
最後に。『とらわれていた思いを開放すると宣言すること』
今回、お母さんのひと言で。誤った思い込みをすりこんでしまったAさん。
今なら絶対そんな風に判断しないはずなのに、今まで持ってきてしまったのは。
小さかった頃は「親はカンペキだ」と思って生きてきたから。
でも今ならわかるはず。
親だってムラもあるしイライラもするし、決してカンペキとは言えない存在だったんだ、と。
思い込みが発動しているときに。敢えて「親はカンペキじゃない」ことを理解しなおしてもらうことにしています。
そして。『ではどうしてお母さんはけなしたのか?』という核心部分に触れていきます。
これをお読みの方はどのような推測をされるでしょうか。
よかったら読み進めながら一緒に考えていただければ嬉しいです。
母の想い…とは。
どうしてお母さんは。
選ばれた喜びを全身に表現して嬉々として語る愛娘を。けなさなければならなかったのでしょうか。
それは。
きっと。
選ばれなかった他の子の痛みをわかる人になって欲しかった
のではないか、という仮説を立てました。
選ばれて、有頂天になっている娘の姿をみて。
きっと自分も同じように喜びたかったかも知れないけれど。
でも。あまりにも調子づいてしまって、他のお友だちに自慢したり、誰かをけなしたりして。
この抜擢がきっかけで、嫌われてしまったらどうしよう、という。
母親なりの考えがあったのかも知れません。
選ばれたのは本当にすばらしいことだけれど、一歩間違えたら別の子が選ばれて、Aちゃんはものすごく落ち込んだかも知れない。ひょっとしたら今。他のお子さんは。ひどく傷つき。泣いているかも知れない。
そんなことを考えられたのかも知れません。
きっと。発表会の当日は。
おじいちゃんやおばあちゃんにも連絡をとって。お父さんにも会社を休んでもらって。
家族総出で。応援にいったのかも知れないのです。
(Aさん本人は、発表会の記憶はない、と言っておられました。それだけ思い出したくない記憶になってしまっていたのかも。。。ですね)
どちらにしても。お母さんはきっと。Aさんがそのような想いをもって。
長い間悩まれるだなんて、これっぽっちも思わなかったはず。
むしろ。娘の存在に誇りを持ちながら。自分以上に優しく。周囲に気遣うことができる、魅力的な人に育って欲しいと。心から願ったに違いないと思うのです。
そのようなお話を伝えたところ。
Aさんは涙を目にいっぱい溜めながら。
「そうかも知れませんね」
と言ってくれました。
それでいいのです。
事実がどうかはわかりませんが。
4~5才の子が決めてしまった解釈以外に。
こんな別の考え方だってあるんだよ、という選択肢があるということがわかっただけで。
これからの人生が変わっていくはずです。
(お母さんが生きていらっしゃる場合は、直接聞いて確認することもできるでしょうが、往々にしてココロの問題は、今までの怒りや恨みなどが一緒に出てしまいがち。
自分が切実に悩んできたことを、とぼけて「忘れた」と言われたり「しつこい」と怒られたり。
逆に親が悪いと思っていても、追い詰められすぎて謝れないような状況になってしまったり、ということが少なくありません。
よって、感情にまかせて、何でも直接聞けばいい、ということでもないようです)
「私は選ばれないひとではありません。なぜなら…」
そして。最後の仕上げとして。
Aさん本人に。今までの思い込みと決別するために。
本人の口から宣言をしてもらいました。
A「私は選ばれない人ではありません」
私「そうですね。なぜなら?」
A「…なぜなら?」
そうなのです。
口では表現できても。まだココロの奥に。どうしてかが理解できない場合があるのです。
ですので、問題が解除できたあとには。
「なぜなら?」と聞いて。宣言に至った理由を考えてもらうようにしています。
そこで。Aさんは。ゆっくりと考えたあと。
こう答えてくれました。
「なぜなら。。。私は。。。むしろ私は選ばれてきた人だから」
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